■純金の買取バイトを始めたわけ
私は投資初心者の貧乏OLです。結婚して30代になるまで、投資なんてしたこともありませんし、むしろ「怖い、怪しい」と思っていました。
しかし、実は以前に貴金属買取のバイトを行っていたことがありました。
それは2011年、貴金属が高騰した年でありました。
2010年の平均価格税抜小売価格がは3,807円/gだったのに対して、2011年は4,745円/gでした。約1,000円も価格が一年間で上昇してしまったのです。
2011年の夏、貴金属買取のお店はどこもたくさんの人で溢れかえっていました。
そんなわけで、私のようなド素人が貴金属鑑定の世界にしばらく足を踏み込むこととなってしまったのです。
そこで鑑定をした経験から、貴金属店で高値で買取されるものと、安く買い取られがちなものをご紹介していきたいと思います。
■高値で買取されやすい貴金属製品
①立て爪の婚約指輪
60歳以上のご婦人が持っている婚約指輪は、このタイプが多いですね。
ダイヤを留める爪のデザインが今よりもずっと厳つかった時代の婚約指輪である為、とにかく指輪自体がでかい。
お店にいらっしゃった多くのご婦人が「高さがありすぎて、服に引っかかるし、時代遅れだから着けなくなってしまった」と仰っていました。確かに着物とかにすぐ引っかかりそう。
しかし、重さがある分、高値で買取される傾向にありました。今の婚約指輪は、4gくらいが一般的だと思うのですが、当時は10g前後の婚約指輪が多かった為、重い分、高額買取となります。
ただ、貴金属買取専門店はダイヤに値段をつけないところがあるので、高級ジュエリーブランドで購入した婚約指輪は、ブランド買取の専門店に持って行った方が値段が高い場合がありますので、相見積もりをお勧めします。
ダイヤを買い取ってもらえない時は、ダイヤはどうなるの? と思われるかもしれませんが、私が働いていたときは、「貴金属の実重量」を確定させる為に、必ず石類はペンチ等で外します。
きれいに石が取れたら返しますし、割れたらごめんなさいという感じでした。
石をきれいに取り外して欲しい、再利用したいという場合は、リフォームをやっている業者に持っていくのが一番だと思います。
②喜平のネックレス
喜平のネックレスとは、つまりEXILEの皆さんや、やくざさんがつけている、例の鎖みたいなネックレスです。
このネックレス、人気が高いです。なんといっても、換金性が高い。その分、まあ買う時も高いんですけれども。
やっぱりお年を召した方とか、男性でお持ちの方が多いです。相場が上がってくると、これをお店に十本くらい持ってくる方もいらっしゃるんですよね。めちゃくちゃ重いはずですから、よくここまで持ってきましたね、って思います。
金を現物で扱ってらっしゃる個人の方は、ここが本当に大変ですね。
前にゴールドバーを持ってくるのに、買い物カートを必死に引きずってきたご年配の男性がいましたが、見てるこっちが本当に冷や冷やしました。貴金属は比重が重い為、ちょっとした大きさでも、とても重いのです。
③印台リング
印台リングというのは、指輪の上部が平らになっているものをいいます。
最初見たときは「なんでこんな厳ついデザインなんだ」と思っていましたが、今メタルジュエリーが流行ってるから、以前より違和感がないですね。
もうお分かりだとは思いますが、要は重い。重いから、良い値がつきます。
もし印台リングの裏の刻印に、「純金」とか「K24」(金がほぼ100%)という文字があったら、それは通常のK18(金が75%の合金)よりもずっと高価です。
なんか昔のリングって、やわらか~い純金が多いんですよね。今より金がずっと安かった時代だからですかねえ。贅沢な重みがあるジュエリーが多いです。
④純銀の食器類
銀は、金やプラチナと比べるとずっと安い貴金属です。
ですから銀のネックレスやブレスレットは、300円~1,000円くらいが良いところでしょう。
しかし、つい忘れがちですが、ご家庭には銀製の食器が非常に多いのです。
一番ポピュラーなのが、銀製のナイフやフォークなどのカトラリー類。
お手入れしないとすぐに黒くなってしまうので、普段使いにはなかなか向いてないお品物ですよね。
結婚のお祝いで、銀のフルーツを乗せる美しいプレートを貰ったことはありませんか? 銀製の置物は?
帆船、ライオン、熊、扇、干支などはよく見かけますね。
いくら銀が安くても、たとえば1kgくらいかき集めれば、50円/gの買取相場なら、50,000円になります。また、会社の福利厚生で、50歳、55歳、60歳と年を重ねるごとに、盃を貰えるところもありますよね。
私も両親に命じられて、三菱製の銀杯の3段セットを売ったところ、2万円くらいになったのを覚えています。けっこういいお小遣いですよね。
そんなわけで、買取をしていてけっこういいお値段になるものを紹介してみました。
次は、安く買い取られがち……あるいは買取不可能なものが多いものについて書いていきましょう。
■安く買い取られがちな貴金属製品
①金色の盃
金色なんだから金に決まっている!!
そう思いたいお気持ち、よくわかります。でも本物の金であれば必ず刻印があるはず……えっ?ゴールドって書いてある?
残念ながら、ゴールドプレーティング、GPと書いてあるのは「めっき」の製品となります。
めっきは、別素材に薄く金を張り付けた加工である為、付着している金は非常に少なく、価格はつけられません。
けれど、もしも「純金」の文字や、「K24」、また日本の旗のマーク(造幣局が認めたものにつく刻印)があるものは、本物の金でできている可能性が高いです。
②高級フッションブランドのアクセサリー
銀座に本店があるような高級ファッションブランドは、多くの装飾品を取り扱っています。しかし覚えていてほしいのは、アクセサリーはあくまでもアクセサリー、ファインジュエリーとは異なるということです。
私も買取をしていた時に、お客様から見せられた製品を調べて「こちらは銅ニッケルでできているので、お買取りはできない」とお返しすると、「でもこれはNYで買ったものなのよ」「ハワイの正規店で買ったのに」と言われたことがあります。
もちろん、決して偽物といっているわけではないのです。ただ、買ったときに5万円したイヤリングであっても、それはブランド料であって、本物の金やプラチナが含まれているわけではなかった、ということなのです。
むしろ、高級ブランドのジュエリーで、金やプラチナが使われているジュエリーを買うとなれば、細いリングでも6万円、ネックレスなら10万円以上するのが一般的かもしれません。
そのようなアクセサリーは、むしろブランド買取のお店に持っていく方が、有利化もしれませんね。
③カフス
カフスって優雅な装飾品ですよね。心に余裕がある、遊び心がある人が楽しむ美しい装飾品です。
高級なカフスは貴金属製品もありますが、私の印象ですと、カフスは「K14」(58.5%)のことが多く、思ったよりも安いイメージがあります。
というのも、カフスは袖口につきますから、テーブルなどによくぶつかります。つまり、傷がつきやすい装飾品なのです。
金は柔らかい素材なので、純度が高ければ高いほど小傷がついたり、ゆがんだりします。
そのため、カフスに、強度なK14が採用されるパターンが多いように思えます。
以前、非常に有名な海外スーツメーカーのカフスをお持ちいただいたご婦人がいました。
刻印が「14K」と出ていたのですが、何度測ってもそれよりも金の配合値が少なく出てしまい、お客様に説明するのに苦労したことがありました。
お客様は、当然納得がいかない様子です。実は、そのカフスは50年以上前に購入されたもののようでした。
その時代はおそらく、今よりもずっと貴金属の刻印がゆるやかに管理されていたのではないかと思います。
④高級時計
高級時計を、貴金属の専門店で売却することほど愚かなことはありません。
金やプラチナでベルトを作ったところで、重さはたかが知れています。しかも貴金属の重量買取ですと、美しい時計はバラバラに壊されて、分解されてしまいます。
高級時計は、そのままで十分に価値があるのですが、時計の買取専門店同士で相見積もりをすることを強くお勧めします。
貴金属は投資市場が株と違って小さい分、値動きがダイナミックです。特に、このコロナ禍のような世界全体の経済が不安定な状況になると、現物投資の価値が再認識され始めます。
ジュエリーはそれ自体を楽しみながら、資産を保持できるという魅力があります。
金の価格は最近少し下がってきてしまいましたが、長い目で見れば相場は上がり続けています。
自分へのご褒美や、いざとなった時の為に、少しずつ貴金属を集めていくのも良いかもしれません。
コメント