財布失くしただけなのに訴えられたから裁判で戦ってきた③

裁判

この記事では財布を紛失してから1人で裁判で戦い、結果無罪となった体験をご紹介します。

ダイエット夫は過去に、財布を失くして個人情報を悪用されてしまいました。

その記録の全貌を残して、私の経験を共有します。

似たような状況に陥ってしまった方の助けになることを願って!

前回までは、訴状が届いてから弁護士を雇わなかった話を書きました。

今回は、裁判での模様を共有します。


前回記事を読んでいない方は先にご覧になってください。





初めての出廷

何とか答弁書を作成したダイエット夫。

裁判所へ出向き、提出窓口で出向きました。

「すみません、事件番号XXの被告のダイエット夫です。答弁書を提出しに来ました。」

被告として自己紹介したのは生まれて初めてで違和感が凄い。

ギョッとされるかと思いきや、役所で住民票を処理する人と変わらず無表情で

「はい、結構ですよ。」

物凄く気張っていただけに、少々拍子抜けしたと共に、少し落ち着いたのでした。

数日後、ついにXデーを迎えました。

裁判所の手荷物検査を通過すると受付のスタッフと警備員の他、数人のスーツの男性が電話をしたり書類を確認していたり。

ロビーは普通の企業のような雰囲気です。

しかし法廷のフロアに移動すると、静寂の空間に早変わり

一つのフロアには法廷が複数あり、少々迷いながら歩いていると

受験会場を探してオロオロした学生時代の気持ちを思い出しました。

指定された部屋を見つけ、いざ入室。

想像していた法廷とは少し異なりました。

ドラマでよく見る仰々しい法廷とは異なり、傍聴席と仕切りの奥には10人掛け程度の大きな丸テーブルと、その奥に書記用の机が置いてある程度でした。

「こんな中華料理屋のテーブルみたいなところで責め立てられるのか。。」

ダイエット夫の事件は簡易裁判でしたので、このような作りなのでしょう。

実際、30分間で5件~6件の裁判が予定されており、相当機械的に処理されます。

そんなこんなで、傍聴席には次々とスーツ姿の男性が現れ、何やら書類をペラペラ。

騒がしくなったところで裁判官とスタッフのような男女が数名入廷。

一気に静まり返り、改めて緊張したことを覚えています。

丸テーブルの奥に裁判官、両脇に役割不明のスタッフが着席。

ダイエット夫の事件は3件目でしたので、先に別の事件の裁判が開始。

仕切りの左側から男性が一名、右側からも男性が一名入廷しました。

どうやら、どちらも弁護士のようです。

裁判官がボソボソと書類を読み上げて、原告側・被告側の両弁護士も機械的なリアクション。

一通り読み上げた後「次回はXX月YY日でお願いします。以上。」

思ったよりもかなり事務的に、かつ迅速に処理していました。

簡易裁判所では年間90万件近くもの事件を処理していますので、当然なのでしょう。

10分程傍聴したところで、ダイエット夫が呼ばれました。


「被告」はやっている前提で扱われる

「俺弁護士じゃないけど、どうやって事務的に5分程で終わらすんだ。。?」

と思いながら丸テーブル被告席へ着席。

原告席には、穏やかな表情をした原告側の弁護士が着席しました。

裁判官が訴状を読み上げ始めました。

裁判官「~以上のとおりですが、正しいですか?」

弁護士「正しいです。証拠として、甲第X号証をご覧ください。」

今度やダイエット夫の答弁書を読み上げました。

裁判官「~以上のとおりですが、正しいですか?」

…む、何て言えばいいんだ?とりあえず弁護士を真似よう。

ダイエット夫「正しいです(キリッ)」

裁判官「しかしダイエット夫さんが消費者金融へ申し込んだ際の書類と、契約書が存在していますが?」

ダイエット夫「全て偽物です。私は申し込みをしておりません。」

裁判官「原告は契約に至る証拠を提出していますが、あなたが申し込んでいないという証拠はありませんね。

原告側弁護士も、妙に長いまつげをまといギロっとした目で私を見ています。

緊張と不快さで胸がいっぱいになりました。

なんだこいつは。何を言ってるんだ?

ダイエット夫「証拠として提示されている申込書に記載されている住所は、私の住所ではありません。Eメールアドレスや年収・家賃もデタラメです。私は運転免許証やその他の個人情報を紛失しており、申し込み日は紛失した日程の直後です。私の個人情報を使用し、申し込んだものと考えます。」

裁判官「原告は、契約に至るまでにどのように本人確認するのですか?」

弁護士「現住所と顔写真を含んだ運転免許証と、会社名を含む給与明細です。」

裁判官「ダイエット夫さんは給与明細も財布に入れていたのですか?」

ダイエット夫「入れていません。偽造されたものでしょう。」

一見淡々とした会話に聞こえますが、裁判官も弁護士もダイエット夫を見る目は「こいつやってるだろ」という目に感じました。

問答すること約20分。

裁判官「被告にも様々な主張があるようですので、原告の訴状や証拠に対して書面で主張を纏めてください。」

次回の裁判日時を決めて、私には宿題を出されてその場は終了しました。


裁判の段取りと手続きの流れ

終わってみると、ダイエット夫の事件だけで30分近くが経過していました。

本来弁護士同士でのやりとりで終わるはずが、法律素人のダイエット夫が被告として一人で乗り込んできたことが原因でしょう。

ただ、事務的に有罪にされて貯まるか、とダイエット夫は引き下がりませんでした。

初法廷で理解したことは、互いの主張は証拠を添えて予め裁判所を提出しておくことが必須ということです。

特に簡易裁判では、法廷の場で議論することはあまり無いようでした。

原告は次に「準備書面」と呼ばれるダイエット夫を追い詰める論理をまとめた書面を提出し、以下のような段取りで裁判は進められます。

  • 裁判①
  • 答弁書に対する反論を準備書面で提出
  • 裁判②
  • さらに追い込むために準備書面を提出
  • 被告の主張を文書で提出
  • 裁判③

ある準備書面では、ダイエット夫が本当に運転免許証を紛失したのか?言及されました。

  • 警察の紛失届受理番号は、運転免許証の紛失を立証できない。
  • クレジットカードを悪用されたことは、消費者金融と契約していないことの立証にはならない。
  • 原告の請求は証拠からも立証出来ている。

裁判の真に恐ろしいところは、素人からすると対面で主張することは許されず、書面で徹底的に叩かれることです。書面ですと更に反論することは出来ません。

運転免許証の紛失届については、公的な証明書を発行するよう警察に相談しましたが、断られました。

そのような書類は存在しない、とのことです。

八方塞がりとはこのこと、やはり弁護士に頼るべきか?と考えました。

ただ、以前相談した弁護士の印象が悪すぎたことと、そもそも冤罪なのに弁護士費用を支払うことに納得が行かず、孤独の戦いを続行することにしたのです。


個人情報を複数盗まれると更に偽造される

今回の真犯人は、巧妙に「真実」と「嘘」を組み合わせて消費者金融を騙していました。

真実の裏は「嘘」の運転免許証

原告から契約手続きの際に使用した免許証の写しが送られてきたのですが、

表面は本物、まさにダイエット夫が紛失した免許証でした。

しかし裏面には住所変更した形跡が残されており、変更後の住所は「まったくの偽住所」だったのです。

持ち主のダイエット夫からすると一目瞭然ですが、消費者金融や裁判官からすると表面が「本物」である時点で、裏面も「本物」と判断したようです。

この巧妙に真実と嘘を組み合わせることで、詐欺行為を成功させたのでしょう。

私は激しい怒りと共に、日本にもこんな犯罪者がいるのかと恐ろしくなりました。


今回は以上になります。

次回は、この絶望的な状況からどのように無罪を勝ち取るに至ったのか?書いていこうと思います。

同じように冤罪で苦しむ方へ、少しでも力になれれば幸いです。

コメント

  1. […] 2020/11/1 財布失くしただけなのに訴えられたから裁判で戦ってきた① 2020/11/3 財布失くしただけなのに訴えられたから裁判で戦ってきた② 2020/11/5 財布失くしただけなのに訴えられたから裁判で戦ってきた③ […]




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